「人生100年時代」「老後2000万円問題」「少子高齢化社会」
私たちが抱えるお金に関する不安は消えることはありません。さらに、新型コロナウイルスが世界で猛威を振るい経済活動に大きな影響を与えています。
そんな中、国が「NISA」や「ideco」の制度を使って、『自分達の老後や資産は、自分達で頑張って貯めてね』と訴えています。
「周りの人が投資を始めた」「投資をすると減ってしまうリスクが怖い」「投資をしなければいけないのは何となくわかってるけど、何をしたらいいのかわからない」などの声をよく聞きます。
ファイナンシャルプランナーとして働いている私が投資や資産運用の初心者に向けてできるだけ分かり易く解説していきますので、最初の一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
この記事の内容
投資初心者が投資に踏み出せない理由3選
今回の記事を書くにあたり、投資が未経験の方と投資を始めて間もない知人10人を対象にインタビューをしてみました。インタビュー内容はこの通りです。
その中で、特に多かった理由の3つをご紹介し、それぞれについて私の考えをお伝えしていきたいと思います。
投資をすることでお金が減るリスクが怖い
汗水流して稼いだ給料の中から、そのお金を投資に回して元本割れ(損失を負う)は本当に悔しいですよね。そんなことなら投資をしなければよかった。そんな気持ちになってしまうのは当然かと思います。
なぜなら、行動経済学的にも「人は損失を回避したい」という心理が働くからです。ですので、その感情自体を変えるのではなく、正しく理解することでコントロールすることを心がけてください。
私が考えるリスクは、この通りです。
リスク=ボラティリティー(変動率)×金額(投資額)
リスクを減らして投資をしていきたいのであれば、変動率(値動きの小さい投資商品)を小さくし、金額を抑えることでリスクを小さく投資を始めることができます。
投資に回すお金がない
投資をすることでお金が減ることが嫌だという人が多い一方、そのような方のお金の使い方を見ると、「宝くじを買った」「会社の飲み会が多くて投資に回せるお金がない」という声をよく伺います。
宝くじは支払われた半分ほどのお金しか懸賞金に回っておらず、一発当ててお金持ちになる!という夢を買うことを否定はしませんが、期待値から考えるとギャンブルとさほど変わりません。
そんな方にオススメなのは、支出の優先順位をつけるということです。
あなたの月々の支出が20万円だとして、本当に必要な支出から優先順位をつけてみてください。
例えば、
1位:家賃 6万円
2位:食費 3万円
3位:光熱費 1万円
・・・・・
あなたの家計の優先順位が下位にある支出は何ですか?
・コンビニでつい手を伸ばしたジュースですか?
・社内の愚痴が溢れる毎週の飲み会代ですか?
・知らず知らず出ていっている使途不明金ですか?
優先順位の低い全体の1割(今回の例であれば20万円の1割で2万円)を将来の資産として毎月投資をすることは、大きなリスクでしょうか?
そもそも優先順位の低い1割のお金ですから、将来の大事な資産形成にお金を投じるという方が金額ではなく価値として判断するとかなり有益かと思います。
ネットで調べると、情報が溢れていて何が正解か変わらない
GoogleやYahoo!で検索すると、溢れんばかりの情報が出てきます。
検索で上位表示された情報を頼りに、あらゆる判断をすることも少なくないかもしれません。
その一方、情報が多すぎたり、それぞれのページで異なった情報が出てきた時にどの情報が正しいものか分からなくなってしまいます。
特にお金や投資に関する情報は、投資家・銀行員・ファイナンシャルプランナー・不動産会社・保険ショップ等が投稿しています。それぞれの立場や経験から書いているので、読者からすると混乱してしまうのは当然かもしれません。
そして、上位表示されるページというのは、広告費を払っていたり、SEOという検索上位表示をされる対策をしていることが多いので、必ずしも正しい情報が上位にあると判断するのは危ないかもしれません。
必要なのは、情報をネットで検索するのではなく、正しい知識や経験をもとに自分自身でお金の価値観や判断基準を持つことです。
私は職業柄、金融関係の方や投資経験者の方と話をする機会が多いですが、みなさんそれぞれの価値観や投資スタイルを持っているので、意見が完全に一致することはありません。投資に正解というものはないのです。
投資は『自己責任原則』という決まりがあります。最終的にはあなたの判断や考え方が大事になってきますので、まずは少額から投資を始めてみて、しっかりと「学ぶ力」を身につけることが重要だと考えます。
ファイナンシャルプランナーの私がオススメする株の少額投資
上記3つの投資を始められない理由をまとめてると、
①投資リスクが怖い→リスクを因数分解し、変動率と金額をコントロールする
②投資資金がない→支出の優先順位が低いお金を投資に回す
③情報過多で正しい情報が分からない→学ぶ力を身につけ、投資しながら経験してみる
ということをお伝えしました。
これらの内容から、20〜40代の方でこれから投資を始めるのであれば「つみたてNISA」をオススメします。
つみたてNISAとは、少額からの積立・長期・分散投資を支援するための非課税投資制度です。
国が運用商品を低コストなものに限定する等、投資初心者の方にとって利用しやすい仕組みとなっています。
メリットとデメリットを記載しますのでご参考ください。
メリット
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投資は初めてだから、少額から少しずつ試してみたい。
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無理のない金額でコツコツ長く運用したい。
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とりあえず将来のためにお金を貯めながら増やしていきたい。
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必要になった時には、自由に取り崩せるようにしておきたい。
デメリット
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投資信託しか運用することができない。
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投資信託でも国の基準にマッチしないものは運用できず、選択肢が少ない。
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年間非課税投資枠が40万円と、NISAの年間非課税投資枠の120万円と比較して少ない。
デメリットの考え方を私の意見として、あなた自身が許容できるのであれば「つみたてNISA」からはじめてみてもいいかもしれません。
投資には、債券や株式、不動産やFX等いろいろな投資商品があります。ここでつまづく人も多いのではないでしょうか。
その中でも投資信託とは、投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品のことです。
つまり、あなたが投資したい商品(外国株式等)を選び、その商品を多くの投資家から集めてまとめて投資しますよというものです。それによって、私たち個人は一つの株式を買うのに何十万円という金額で買わなければ投資できないものが、小口で投資することも可能になったりします。
投資信託のファンド数は13,000種類ほどあると言われています。その中から違いもよく分からない中投資できますか?国が基準を設けて厳選された投資信託の中から選べる方が初心者の方には安心ですよね。
また、つみたてNISAとは別にNISAという制度もあります。こちらも非課税制度という点では同じですが、金額や期間の条件の違いがあります。ここを紹介すると、膨大になってしまいますので、初心者の方は「つみたてNISA」から始めましょう。「NISA」と「つみたてNISA」はどちらかしかできませんが、あとで変更することも可能です。
初心者が踏み込んではいけない投資
私がファイナンシャルプランナーになった理由は、あまりにも多く方が投資で失敗したり、身近に投資詐欺にひっかかっていまう人が多かったからです。
投資で失敗した人の理由のほとんどが、投資ではなく投機をしていること。
投資詐欺にひっかかったほとんどが、「無料」「リスクがない」「大儲けできる」というキーワードに飛びついていたという事実です。
一人一人の価値観や考え方はありますが、投機と呼ばれるものや、無リスクで投資ができるという投資詐欺まがいのものには飛びつかないで欲しいというのが願いです。
具体的な商品は、「FX」「不動産」「仮想通貨」は、投資初心者が手を出すべきではありません。
国や企業が私たちを守ってくれる時代はとうに終わりを迎えようとしています。
今後、適切なリスク(変動幅)や金額を自分で判断し、個人で資産運用をしていかなければいけません。
学校では投資や資産運用について教えてくれません。自分でしっかりと学び、考え、行動することが重要です。